幸い、自宅から駅までの道を3往復して探したところ無事に見つかったのだが、お気に入りのイヤリングだっただけにかなり焦った。
その出来事を中国語教室で先生に報告しようとして
“我把这个耳环落在路上…”
と話し始めたところで、先生に
「ちょっと待って」
と遮られた。そして私のイヤリングを指さして
「それは“耳环”じゃないですよ。“ěrzhuì”と言います。」
先生はそう言って、ホワイトボードに“耳坠”と書いた。
耳坠ěrzhuì
“耳坠”って初めて聞いたぞ。だが、“坠zhuì”の字には見覚えがある。
…そうだ。坠落zhuìluò「落ちる」「墜落する」の“坠”だ。
“坠”には「落ちる」「(重いものが)ぶら下がる」という意味の動詞の他に、名詞で「下げ飾り」という意味があり、この字のとおり“耳坠”はゆらゆら揺れる耳飾りを指すらしい。
耳环ěrhuán
では、私が間違って使ってしまった“耳环”とは何なのか?「日中辞典 第3版」でイヤリングと検索すると耳环ěrhuán,耳饰ěrshìと出てきたのに。
先生が言うには“耳环”とは、輪っかタイプの耳飾りを指す。
耳钉ěrdīng
ちなみに、先生がもう一つ教えてくれた耳飾りの種類が“耳钉”。“钉dīng”は「釘」の意味で、ここからも分かる通り、“耳钉”は耳たぶにピタッと留まるタイプの耳飾りだ。
耳饰ěrshì
そして、これら耳坠,耳环,耳钉を総称して“耳饰ěrshì”という。中国語における耳飾りの名称を知って、日本語と中国語ではっきり違う点があると分かった。
それは、日本語では
中国語では、
ピアス穴があいているかどうかは、“耳饰”を分類するうえで大きな問題にはならないらしい。
この発想の違いを知らなかった私は、日中辞典で「イヤリング」を引いて出てきた“耳环”をそのまま当てはめて失敗したというわけだ。
新しい語彙を覚えるときは、単なる訳語だけでなく、その言葉が何を基準に名付けられているのかまで意識したい。
そんなことを考えさせられたイヤリング紛失騒動だった。

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