皆さまもご存じの通り、“汉语”はもともと「漢民族が用いる言葉」、“中文”は「文章として書かれた中国語」を指している。
そのため、私が大学で中国語を勉強した際は、“说中文”という言い方は(近年増えてはいるものの)厳密には間違いだと教わった。
“中文”は「書く」ものであって「話す」ものではないからだ。
日本語でも「英語を話す」とは言っても、「英文を話す」とはあまり言わないだろう。
ところが、最近の中国語の教科書や参考書などを見ていると、“说中文”が使われているのをよく目にする。
なぜ“说汉语”ではなく、“说中文”なのだろうか。
中国語教室でネイティブの先生に聞いてみたところ、興味深い答えが返ってきた。
先生はまず、私が大学時代に“说中文”はおかしいと習ったことに対して、とても驚いていた。
というのも、今の中国では“说汉语”よりも“说中文”と言う方が主流だからだ。
“汉语”は文字通り、“汉(漢)”民族の言葉だ。
先生によれば、“汉语”は現代中国においては、漢民族の言語であることを強調する言い方だと考えられている。
だが、当然ながら中国語を話す人は漢民族だけではない。
満族や回族などの少数民族もいるし、台湾や香港、マカオなどでも中国語が話されている。
“汉语”と言ってしまうと上記のような人たちへの配慮を欠くことになってしまうので、日常生活における「中国語」としては“中文”が広く使われるようになったらしい。
先生の感覚では、中国国内では
したがって、中国語学習者としては、単に日常会話の「中国語を話す」「中国語を勉強する」と言いたいときは“中文”を使っておけばよいだろう。
昔、“中文”=「文章として書かれた中国語」と習った私としては、“说中文”という言い方に少し違和感があった。
しかし、こうして背景を知ったことで、時代に即した言い方なのだと思い直した。
言葉は生き物なのだ。

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